綾瀬市防災アドバイザーの防災コラム(平成21年度第1回~第5回)

更新日:2023年02月01日

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このページは綾瀬市防災アドバイザーの国崎信江氏によるコラムを掲載しています。
ぜひ、ご家庭や事業所などでの防災対策にお役立てください!!

第1回 綾瀬に地震はいつくるの!?(平成21年6月公開)

三浦半島断層群あたりの地震動予測地図

地震動予測地図

もしも地震の発生を天気予報のように事前に知ることができたら、地震の被害は大幅に減ります。地震は突然やってくることで不安や恐怖心を高めています。地震を予知することは、地震大国に住む国民にとっての悲願ですが、天気予報のように「○日の○時ごろに○○の震源からマグニチュード○クラスの地震が発生します。各地の震度予測は次の通りです」といった情報を得るのは残念ながら近い将来(30年以内)を見据えても実現は不可能でしょう。
しかしながら、昨今の地震研究ではある程度の発生場所や地震動の強さ、発生時期を予測できるようになってきています。
みなさんは『地震動予測地図』をご存知ですか?これは、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した地図で、影響を及ぼす地震全てを考慮し、発生の可能性と強さを計算した結果を地図上に表現したものです。文部科学省管轄の地震調査研究推進本部のホームページから見ることができます。まずは気になる綾瀬市についてみてみましょう。(地震動予測地図を参照ください。(地震調査研究推進本部のホームページより引用))

残念ながら綾瀬市内のほぼ全域で今後30年以内に震度6弱以上の強い揺れに見舞われる可能性が高いという表示が出ています。30年以内というのは30年後ということではありません。現在を含めていつ起きてもおかしくない切迫した状況にあるということです。これからの人生設計では生命保険の「病気になるリスク」に備えるように「地震の被害に遭うリスク」への対応を考える必要があります。
先ほどの天気予報の話ではありませんが、もしも地震の発生が、1日前にわかったらあなたは何をしますか?それが1ヶ月前だったら?そして1年前だったら?Xデーまであとどれほど残っているかは誰にもわかりませんが、高リスクがはっきりしている今、無防備では大切なものを失いかねません。これからともに防災について学び、できるところから実践してみましょう。

第2回 今年もゲリラ豪雨がやってくる!?(平成21年7月公開)

背景が水色に白文字で雲と雷が描かれたイラスト

大雨イメージ

日本では、梅雨や秋雨のおかげで、一年を通して適度な降雨に恵まれ、作物の実りが豊かになる恩恵を受けています。しかし一方で梅雨や秋雨前線が活発になって降る大雨・豪雨による被害も発生しています。瞬く間に水位が上昇し、流れに速さが出て濁流となる様相は大変恐ろしいものですが、雨は身近に起こる現象なので異常事態に気付きにくく、危険な状況になっても反応が鈍いために対応が遅れがちです。
昨今は気象変動、地球温暖化、ヒートアイランド現象の影響により、局所的に激しく大量に雨が降るゲリラ豪雨も発生しています。昨年(2008年)7月28日に神戸市灘区内を流れる都賀川でゲリラ豪雨が発生しました。都賀川は官民一体による河川整備により、親水活動や環境学習のフィールドとして利用されていましたが、2分間に1メートルという急激な水位の上昇により、河川を利用していた市民や児童5名の人命が失われました。
1ヵ月後の8月29日には集中豪雨が発生し、岡崎市に1時間に146ミリメートルの猛烈な雨が降りました。河川の決壊により、付近の住宅街は濁った水で沼のようになり、道路は冠水しました。この豪雨により2名が亡くなり、市内全域のおよそ14万6000世帯に避難勧告が出されました。
都市の下水道の雨水排水能力は、1時間あたり50ミリメートルで整備されています。しかしその量を大きく超える時間雨量100ミリメートルを越える豪雨が近年頻発しています。ゲリラ豪雨のように短時間で瞬く間に川が増水する場合、市からの避難勧告や避難指示が間に合わないことも想定されます。そのため、私たちは情報を得てから行動するのではなく、今起きている現象から自主避難を判断する力を身に付けなければなりません。
危険な雨の判断は1時間の雨量が20ミリ以上、降り始めてから100ミリ以上になったときです。排水機能が低下し、用水溝があふれマンホールから逆流するなどして氾濫した場合、水位は瞬く間に上がります。浸水時に歩ける深さの目安は膝下ですが、たとえば子どものいる家庭なら子どもの膝下は大人より低い、仕度時間がかかる、歩行速度が遅いことを十分に考慮して早めに避難するなど、要配慮者への対応を忘れないようにしましょう。

激しい雨が降り始めたら河川の状況が気になりますが、見に行くことで災害に巻き込まれることがあります。そんなときは神奈川県内各地の雨量と河川の水位をインターネット上で確認できる「神奈川県雨量水位情報」を利用しましょう。(ページ下のリンクからご覧になれます。)
綾瀬市に流れる蓼川の松山橋付近と、目久尻川の新産川橋付近の現在の様子をWebカメラで見ることができます。情報は2分ごとに更新され、過去3時間までの撮影記録を見ることができるので、水位の変化を確認できます。こうした川の防災情報は自宅や会社のパソコンからだけでなく、登録すれば帰宅途中でも携帯電話から見ることができます。避難勧告等の発令は防災行政用無線、綾瀬市のホームページ、あやせ安全・安心メールを通じて発信されますので大雨・豪雨の際には留意してください。綾瀬市が公表している洪水ハザードマップでは、目久尻川、蓼川、比留川がはん濫した場合に想定される浸水の範囲や浸水の深さと、下水道の雨水排水能力を超えた雨によって浸水した「内水実績区域」や、浸水するおそれのある避難所などの情報が示されています。風水害の多発する時期を前に、こうした情報を入手して対策を考えておきましょう。

第3回 野外遊びの事故から身を守る(平成21年8月公開)

プールに赤い浮き輪が浮いていてプールサイドにはビーチパラソルがあるイラスト

プールサイド

梅雨も明け子どもたちは夏休みに入り、野外遊びに出かける機会も多くなります。自然の中で遊ぶことは刺激も多く楽しいものですが、危険も潜んでいます。危険に遭わないためには、入念な事前準備、当日の体調、場所に応じた危機回避知識と行動が求められます。楽しい思い出をお土産にできるよう、自然との付き合い方を学びましょう。

1、川で遊ぶときのポイント

川には、遊びに適した場所と危険な場所があります。川底が見えない、流れが速い場所では遊ばないことです。浅瀬であってもライフジャケットを着用し、リバーシューズを履きましょう。また前日に雨が降っていたなら、増水している可能性もあるので遊びを控えましょう。天気が良くても、上流の上空を気にすることも大切です。雷、入道雲があったら、突然激しい雨が降り急に増水する危険があるためすぐに川から離れましょう。

2、海で遊ぶときのポイント

海では、満潮と干潮が1日に2回起こります。潮の満ち干きを調べて、適した時間に遊びましょう。遊泳禁止、川が流れ込んでいる、リップカレント(離岸流)(注釈)では泳いではいけません。陸から海に向かって風が吹くときはあっという間に沖に流されることがあるため、ボート遊びを控え、波打ち際で遊ぶようにします。磯場ではライフジャケットとラジオをもって、高波などの天気予報に注意しましょう。
紫外線から肌を守るために、できるだけ肌の露出が少ない水着を着用し、砂浜で休憩するときは帽子を被りましょう。

(注釈)リップカレント
沖から岸にうち寄せられて行き場の無くなった海水が沖へ戻っていく際に生じる、強い流れのことをいいます。泳ぎの達人でもあっという間に沖へ流すほど流れが強く、慌てて流れに逆らって泳ぐと、体力を消耗し溺れてしまうおそれのある危険な場所です。

3、プールで遊ぶときのポイント

プールサイドは走らない、飛び込みは決められた場所以外でしない、わるふざけをしないなどルールを守りましょう。最近起きた事故では、給水口に吸い込まれる事故が発生しています。入る前に給水口を確認する、できるだけ離れた場所で泳がせるなど保護者が必ず付き添い、事故を防ぎましょう。

4、水遊びのまとめ

子どもだけで遊びに行かせず保護者が付き添うこと、水遊び中の子どもから目を離さない。また、釣や川遊びでは水深に関わらずライフジャケットの着用および水遊び用の靴を履かせる、子どもの足のつく腰より低い水深で遊ばせる、溺れたとき、流されたとき浮力のあるものを投げ入れる、おぼれのサインを知る、溺れたときに上手に浮く練習をしておくなど、最悪な事態を考えた対策をしてから遊びましょう。

5、登山、ハイキングをするときのポイント

3名の人達が山登りをしているイラスト

登山

突然の雨、強風、季節外れの天候(気温)など変わりやすい天気に対応した備えをしましょう。さらに、落雷、落石、転落、滑落、道迷いなど様々な危険を意識した慎重な行動を心がけましょう。こうした危険が発生した場合の対処法をパートナーとしっかり話し合うことや、現地の情報をしっかりと収集してから山に入りましょう。

6、危険な動物に遭遇したときのポイント

クマ、イノシシ、野犬、猿など突然出くわすこともあります。こうした動物に会わないためには、居そうな場所に近づかない、鈴などの音をだし人間がいることを知らせることです。出会ってしまったら、大声を出さず、立ち止まり様子をみてゆっくりその場から離れましょう。

第4回 地震がきたらどうすればいい?(平成21年9月公開)

家から炎がでて、電話がなり、サイレンが回っているイラスト

火災イメージ

8月11日05時07分に、駿河湾を震源とするM6.5の地震が発生しました。静岡県伊豆市、焼津市、御前崎市等において最大震度6弱、綾瀬市では震度3を観測しました。この地震により静岡県内では死亡者1名、重傷者15名、軽症者222名の人的被害が出ました。(静岡県地震速報第17報8月20日より)
気象庁で、想定される東海地震に結びつくものではないと判断し、発表したことにより、東海地震の発生が近いのではと不安を感じている住民がいます。
神奈川県地震被害想定調査に基づく綾瀬市の被害報告では、東海地震が発生した場合、綾瀬市の震度は5強となっています。
第1回のコラムでお伝えしたように、日本は地震の活動期に入っており、いつ大きな地震が起きてもおかしくありません。防災週間や防災の日を機に、今一度災害発生時の行動について考えてみましょう。

揺れたら3つの基本行動

1、安全なところで体を守る

飛来落下物など、危険なものから素早く離れ、比較的安全な場所で体を守りましょう。集合住宅では、窓から離れ、固定されている丈夫なものにつかまりましょう。

2、揺れの最中や直後は大声を出さない

天井や壁に亀裂が入ると、埃やチリが舞います。気管を痛めるだけでなく大量に吸うと激しく咳き込み声を出すことができなくなります。埃やチリが静まるまで鼻と口を保護しましょう。

3、揺れが収まってから火元の確認、出口の確保

揺れている最中に火を消すのは危険です。都市ガスと大部分のプロパンガスでは震度5程度以上の地震が発生したら、マイコンメーターが自動的にガスを遮断しますから、火を消そうと無理してやけどすることのないようにしましょう。

揺れが収まったら

1、土砂災害・建物崩壊の危険があるならすぐに避難する

日ごろから綾瀬市の防災マップをみて避難場所や避難ルートを確認しておきましょう。

2、火災が発生したら初期消火

大声で周囲に知らせながら、初期消火します。炎が天井に到達したとき、または煙が白から黄色に変化したときには諦めてすぐに逃げましょう。逃げるときには有毒ガスを吸わないように布で鼻と口を覆いましょう。このとき、布が濡れていると有毒ガスを薄め、熱さから顔を守ることができます。
避難に時間がかかる家族がいるなら、早めに避難しましょう。

3、室内の被害確認、外の被害確認

周りをよく見て、ガラスが割れて床に散乱していたら、スリッパを履く、座布団や雑誌などで足場をつくるなど、足元を保護してから動きます。
ドアの開閉状況、家族の被害確認、電気・ガス・水道・電話の機能状況、地域の被害状況の程度を確認し、すぐに対処すべきことから実行しましょう。

4、救出&負傷者の手当て

家族が、閉じ込めや家具の下敷きになっていたなら、近所に応援を求め、一刻も早く救出しましょう。負傷していたら直ちに応急手当を行ない、必要なら病院へ搬送します。あらかじめ綾瀬市内の(注釈)応急救護所や災害拠点病院の場所を確認しておきましょう。

(注釈)災害医療拠点病院は、重症・重篤な傷病者を受け入れるなど、災害時の医療救護活動において中心的な役割を担う病院として位置づけられています。厚木市立病院、大和市立病院が指定されています。
応急救護所は避難所(小・中学校15校、公共施設15箇所、広域避難場所26箇所、公共施設)に設置されます。

5、離れている家族の安否確認

まずは安全な状況に身をおいているかどうか、負傷の有無など、互いの状況報告と、待ち合わせの詳細を確認しましょう。交通の断絶など帰宅困難な状況では無理して帰ることで二次災害に遭う危険があります。家族と連絡が取れたなら状況が落ち着くまで安全な場所に留まりましょう。

第5回 災害に備えて何を用意する?(平成21年10月公開)

非常持出袋の回りに並べられたヘルメット、救急セット、非常食、水、懐中電灯、電池、軍手などの防災備蓄用品の写真

防災備蓄用品

非常時に必要な備えとは何でしょうか。備える内容や、備蓄方法、場所について考えてみましょう。まずは、発災直後に必要なもの、避難生活で必要なもの、というように時系列で「どの時点で何が必要なのか」を整理してみましょう。

  • 一刻を争う事態を想定した最低限必要なもの(1次品)
  • 少し落ち着いてから取りに戻る3日分の備え(2次品)
  • 避難生活が長期化したときに必要になるもの(3次品)

に分けて備えるという方法があります。

1次品はすぐに持ち出せるように、重さ・自分の体力・避難所までの距離を考慮してできるだけ軽めにしましょう。「あれば便利なもの」ではなく「ないと非常に困るもの」を優先して中にいれるものを厳選します。例えば常服薬やメガネ、コンタクト、入れ歯、離乳食など個人にあったものは第三者がすぐに調達してはくれません。ラジオ、携帯トイレ、レインコート、貴重品など必要最低限の必需品に加えて、個人で必要とするものを忘れずにいれておきましょう。 揃えたものは防災ベストなどに収め、身近においてすぐに持ち出せるようにしましょう。枕元にはヘルメット、靴、懐中電灯、笛、マスク、軍手をまとめて置きます。
2次品には水、食料、着替え、タオル、簡易トイレ、ウエットティッシュ、給水袋、生理用品など避難生活を意識したものを揃えます。
3次品は避難生活が長期化しそうなとき、少しでも快適に過ごせるような品を揃えましょう。テント、寝袋、カセットコンロ、ランタンなどのアウトドア用品を災害時に利用するのも良いでしょう。
さらに、外出中の被災も考えて車のトランクや常時携帯するカバンの中にも携帯用非常品セットを入れておくと安心です。揃えたものは賞味期限切れ防止や品質維持のために定期的に内容を確認しましょう。忘れないために、毎年9月1日(防災の日)は中身を確認する日と決めておくと良いでしょう。

もっと備蓄を充実させたい、という方には普段使用しているものを災害時に活かすためのアイディアをご紹介します。
以前は温泉施設やスポーツクラブなど企業で利用されていたウォーターサーバーですが、最近は家庭にも普及してきています。スーパーなどで購入して重たい思いをして運んでいた水を、自宅まで宅配してくれるという利便性もあって人気が高まっているようです。一つのタンクに12リットルの水が入っているので、ウォータータンクを多めに用意しておけば災害時の備蓄にもなります。最新のウォーターサーバーでは、上部に設置されているタンクに水道水を入れれば、ろ過して水素水を作るという高性能のものがあります。このろ過システムは、災害時にお風呂の残り水を飲み水にすることもできる優れものです。
最近の防災グッズでは、手回しで充電できるラジオ付ライトに人気があるようです。しかしこのようなタイプは、購入して安心してはいけません。仕舞ったままの状態では使えなくなる可能性がありますから、定期的に手回しする必要があるのです。それが面倒という方には、足元灯をお勧めします。暗い夜間にトイレなどで起きたときも睡眠を妨げないよう、まぶしさを抑制しつつ安全に歩けるように足元まわりを照らすライトです。平時だけでなく、停電すると自動点灯し、コンセントから取り外すと懐中電灯としても使用できます。いざというときに電池切れや揺れでどこにいったか分からないというトラブルを回避できます。
経済的なことを考えれば、災害時だけしか使用用途がないものより、平時にも災害時にも役立つものを選びたいものです。上記に挙げましたウォーターサーバーや足元灯以外にも、蓄光テープ、滑り止めマット、指はさみ防止ストッパー、雨水タンクなど、私たちの身の回りにあるものやサービスの中に災害時にも活用できるものはまだまだたくさんあるのです。そして新しく購入するばかりでなく、いま自宅にあるものを災害時にどう活かすか、という視点をもって災害対応力を身につけていただくと「備え」の意識も変わってくると思います。

綾瀬市防災アドバイザー 国崎信江氏のご紹介

スーツ姿の国崎信江氏の顔写真

国崎信江先生

  • 危機管理教育研究所 危機管理アドバイザー
  • 文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員会」委員
  • 文部科学省「防災分野の研究開発に関する委員会」専門委員
  • 文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員会総合部会」委員
  • 文部科学省「地震防災研究を踏まえた退避行動に関する作業部会」メンバー
  • 気象庁「緊急地震速報評価・改善検討会」委員

など多数の組織で活躍。

平成20年8月より綾瀬市防災アドバイザーに就任。

この記事に関するお問い合わせ先

綾瀬市役所 市長室 危機管理課 危機管理担当
電話番号:0467-70-5641
ファクス番号:0467-70-5701

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