「体験的対話教育法」の実践(平成18年3月発行)
はじめに
平成17年度の調査結果では不登校児童・生徒数は、全国的には減少傾向にあると報告されていますが、不登校問題は決して楽観できる状況ではありません。
教育研究所では、不登校問題研究会において、不登校の児童・生徒または休みがちな児童・生徒への支援策の一つとして、「体験的対話教育法」について、大草正信先生の指導をいただきながら研究を進めてきました。
研究会では、研究員全員が課題を抱える児童・生徒との対話記録をとり、その検討と分析を「体験的対話教育」の立場から行い、研究員同士でロールプレイを実施し、教師の投げかけた言葉によってどのような気持ちが沸くか、どのような感じを受けるかを疑似体験するなどしながら、児童・生徒と対話する時どのような言葉を投げかけることが適切かを追求してきました。
研究の成果として、「体験的対話教育」という指導法を用いて児童・生徒と対話すると、「意外に自分のことを素直に話す。反抗的な態度がでない。」など以前と異なった反応が見られることなどが報告されています。また、教師が課題を抱えた児童・生徒の心の変容を支援しているという手応えが感じられたことも報告されています。
このように、「体験的対話教育法」は、不登校または不登校傾向の児童・生徒への指導法として有効な手法の一つであることが明らかにされましたが、学校現場で教師が陥りやすいといわれている対話の仕方「すぐに現実の話題になってしまう。やらせる指導になってしまう。」を考慮すると、実際に子どもが望んでいる方向へ導く対話を展開することは容易ではありません。
研究所では、この度、不登校問題研究会が長年にわたって取り組んできた研究の成果をワークシートにまとめ、発行することになりました。
このワークシートをもとに、各学校で実践・分析・検討が行われ、先生方が「体験的対話教育法」を習得され、不登校問題に関わる指導に活用されることを期待しております。また、教育相談や日常会話、授業中の児童・生徒との対話などに活用していただければ幸いと考えております。
最後になりましたが、これまで不登校問題研究会の研究推進に尽力されました市内小・中学校の研究員の先生方、研究員をご支援くださいました各校の校長先生はじめ諸先生方、そして熱心にご指導くださいました大草正信先生(大草心理臨床・教育相談室主宰)に深く感謝申し上げます。
平成18年3月
綾瀬市教育研究所長 遠藤 健次
- 目次
- 研究の概要
- 研究のテーマについて
- 研究の実践
- 「体験的対話教育法」研修会
- ロールプレイ
- 対話記録の分析・検討
- 実践ワークシートの作成
- 研究の成果と課題
- 研究のまとめ
綾瀬市不登校問題研究会の第三期活動を振り返って(総括)
~ 綾瀬市適応指導教室スーパーバイザー
大草 正信 先生より - 資料
- 資料1 「体験的対話教育法」について
- なりたい自分をイメージしよう!
- 「心が新たに育つ」具体的方法
- 聞かせる対話」具体例
- 資料2 対話記録
- 渋りが始まったAとの対話
- 教室になかなか入れないBとの対話
- 緘黙傾向にあり
コミュニケーションがとれないCへの対応
(一人称台詞表現による一人芝居) - 緘黙傾向にあり
コミュニケーションがとれないDへの対応
(一人称台詞表現による一人芝居)
- 資料3 実践ワークシート
- 資料1 「体験的対話教育法」について
- おわりに
- 不登校問題題研究会
関連ファイル
この記事に関するお問い合わせ先
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更新日:2023年02月01日